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いつも心にデカダンを。

【日記】2017年6月17日

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(Shibuya, Tokyo 2017)

エドワード・ヤン『台北ストーリー』@ユーロスペース。相変わらずの完璧なフレーミングで呆然としたあと、ホテル街を抜け駅前に戻った。ホテルの顔ぶれは学生の頃から変わらない。多分、もっと前からこうなんだろう。歌舞伎町のそれよりちょっとポエジーがあって、その分ちょっと甘ったるい。歌舞伎町の方にいると、なんとなく薄い刃物と背中合わせでいるような感じを覚えるものだけどーー迂闊に動けば、すぐさま表皮を削がれる感じ。とはいえ結局、どっちも好き。近くに美味しい店もあるし。

トラン・アン・ユンの最新作を観るべく、未見の『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』『ノルウェイの森』を鑑賞。どちらも悪くなかった。特に『ノルウェイの森』については、直子の慟哭が聴けてよかった。自分の感情が自分自身を大きく超えてしまったとき、叫ぶ以外に何をすべきだろう?

シナリオ上悪い省略がありすぎるし、幾つかのモチーフが描かれず本来の意味が完全に損なわれた点もある。さらに、彼ートラン・アン・ユンならではの致命的な改変もある。それでもこれは、一つの回答として存在するに足ると思う。長いことハルキストだったし、その残滓は今もあるけれど、それを差し引いても善き部分、つまり映画ファンと原作ファンの両方に何かしら訴える部分がこの映画にはあるのではないか